一般会計予算の全貌:決定プロセス、システムの問題点、そして岸田首相の影響

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はじめに

一般会計予算とその重要性

一般会計予算とは、国の歳出と歳入を計画するためのものです。これは、国がどのように資源を配分し、どのように税金を使うかを決定するための重要なツールです。一般会計予算は、社会保障、防衛、教育など、国民の生活に直接影響を与える多くの領域にわたる支出をカバーしています。したがって、一般会計予算は、国の政策の方向性を示すものであり、その決定は我々の生活に大きな影響を与えます。

なぜ今、この話題を取り上げるのか

2024年の一般会計予算が最近閣議決定されたことから、この話題を取り上げることにしました。予算の決定は、我々の生活に直接影響を与えるだけでなく、国の経済状況や政策の方向性を理解する上でも重要です。しかし、一般会計予算の決定プロセスやそのシステムについて詳しく考えたことがない人も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では一般会計予算の決定プロセスやそのシステム、さらには他国との比較や現政権の影響について考察していきます。これにより、一般会計予算についての理解を深め、より良い社会を築くための議論を促進することを目指します。

一般会計予算の決定プロセス

予算要求のまとめ

一般会計予算の決定プロセスは、まず各省庁が予算要求をまとめるところから始まります。これは、各省庁が次年度に必要とする予算を詳細に計算し、それを財務省に提出するという手続きです。この予算要求は、各省庁の業務計画や政策目標に基づいて作成されます。例えば、教育省は教育改革のための予算や、新たな学校建設のための予算などを要求します。

内閣による協議

次に、内閣がこれらの予算要求をもとに協議を行います。この協議は、全体の予算規模や各項目の優先順位を決定するためのものです。内閣は、国の財政状況や経済状況、政策の方向性などを考慮しながら、どの予算要求を採用し、どの程度の予算を配分するかを決定します。この協議は、財務省と各省庁の間で行われる「予算編成会議」と、内閣のメンバーで行われる「予算関連閣僚会議」の二段階で行われます。予算編成会議では、財務省が各省庁の予算要求を精査し、削減や再配分を求めます。予算関連閣僚会議では、内閣の政策の方針に沿って、予算の最終調整を行います。

閣議決定とその意義

閣議決定とその意義 最終的に、内閣がまとめた予算案は閣議で決定されます。これが一般会計予算の閣議決定です。閣議決定された予算案は、国会に提出され、衆議院と参議院の両院で審議されます。このプロセスは、民主主義の根幹をなすものであり、国民の生活に大きな影響を与えます。閣議決定された予算案は、内閣の政治的責任を示すものでもあります。内閣は、予算案の内容について、国会や国民に説明責任を負います。また、予算案の内容は、内閣の政治的信念や価値観を反映するものでもあります。内閣は、予算案を通じて、国の将来像や社会の理想を示します。

小見出し4:閣議決定後の流れ

国会での審議と成立 閣議決定後、予算案は国会に提出されます。国会では、まず衆議院で審議され、可決された後、参議院に送られます。参議院でも審議され、可決されれば、予算案は法律となります。この一連の流れは、予算の公正性と透明性を確保するために重要な役割を果たしています。国会では、予算委員会で首相や閣僚が出席し、予算案の内容について質疑応答が行われます。予算委員会では、与党と野党の対立が激しくなることが多く、テレビで中継されることもあります。予算委員会の審議は、国民が予算の内容を理解し、その適切性を評価する機会も提供しています。また、国会での審議は、予算の成立を確実にするためにも必要です。衆議院と参議院の議決が異なった場合や、参議院が予算案を30日以内に議決しなかった場合は、衆議院の議決が優先される仕組みがあります。これを「衆議院の優越」といいます。これは、予算の成立を遅らせないための措置です。

他国との比較

EUの予算の仕組み

EUの予算は、7年ごとに決められる多年次財政枠組み(MFF)と、その中で毎年決められる年次予算からなります。MFFは、EUの政策目標や優先順位に基づいて、各政策分野の歳出上限額を設定します。年次予算は、欧州委員会がMFFに沿って提案し、EU理事会と欧州議会が審議・採択します。EUの予算は、主に加盟国からの拠出金と、関税や付加価値税などの自主収入で賄われます。

  • MFFは、EUの長期的な戦略やビジョンを反映したものです。現在のMFFは、2021年から2027年までの7年間をカバーしており、総額は1兆1,346億ユーロ(約140兆円)です。MFFは、7つの政策領域に分けられており、その中でも「結束と価値」「自然資源と環境」「単一市場、イノベーション、デジタル化」が最も多くの予算を割り当てられています。MFFは、EUの予算の上限を決めるものであり、実際の支出は年次予算で決まります。
  • 年次予算は、MFFの枠内で、毎年の具体的な支出計画を決めるものです。2022年の年次予算は、総額は1兆6,580億ユーロ(約200兆円)で、MFFの上限を下回っています。年次予算は、見積もり予算と支払い予算の2種類があります。見積もり予算は、一定の条件が満たされればプロジェクト完了時にEUが支払う法的約束の上限額です。支払い予算は、特定の年に実際に支払う決済額を指します。長期プロジェクトでは、複数年次に分けて支払いが行われるので、年によっては見積もり予算と支払い予算が異なります。また、見積もり予算には充分な余裕を持たせてあるため、一般的に支払い予算は、見積もり予算よりも5%~10%ほど少なくなります。
  • EUの予算の歳入は、主に3つの独自財源(own resources)で賄われています。伝統的財源は、EU域外からの輸入に課される関税や砂糖税です。付加価値税(VAT)ベースは、加盟各国のVATの一定割合です。国民総所得(GNI)ベースは、加盟各国のGNIの一定割合で算出される分担拠出金です。独自財源の予算総額は、EU全体のGNIの一定率(1.23%)を超えないと定められています。欧州委員会は、次期MFF案として、以下の3つの新たな独自財源の追加を提案しています。共通連結法人税(域内の法人課税ルールの標準化)温室効果ガス排出量取引制度からの収入の20%プラスチックごみに対する新税

米国の予算の仕組み

米国の予算は、大統領が提案し、議会が審議・採択します。大統領は、予算局(OMB)を通じて、各省庁からの予算要求を調整し、翌年度の予算案を作成します。予算案は、2月初めに議会に提出されます。議会は、予算委員会と歳出委員会を中心に、予算案を審査・修正し、各歳出項目の承認法案(Appropriations Bill)を可決します。大統領は、承認法案に署名するか、拒否権を行使するかを決めます。米国の予算は、主に所得税や法人税などの税収と、国債の発行で賄われます。

  • 米国の予算は、義務的経費と裁量的経費に分けられます。義務的経費は、社会保障や医療保険などの法律に基づく支出で、予算案には含まれません。裁量的経費は、国防や教育などの政府の活動に関する支出で、予算案には含まれます。2023年度の予算案では、総額は6兆9,000億ドル(約750兆円)で、裁量的経費は1兆6,580億ドル(約180兆円)、義務的経費は5兆1,420億ドル(約570兆円)となっています。裁量的経費の内訳は、国防費が8,580億ドル(約930兆円)、非国防費が8,000億ドル(約870兆円)です。
  • 米国の予算は、しばしば政治的な対立の舞台となります。大統領と議会の間に意見の食い違いがある場合、予算案の審議が遅れたり、承認法案が拒否権によって差し戻されたりすることがあります。このような場合、予算が成立しないまま会計年度が始まると、政府機関の一部が閉鎖される「シャットダウン」が発生することがあります。シャットダウンは、政府のサービスが停止し、公務員の給与支払いが遅れるなど、国民生活に影響を及ぼします。

日本の予算の仕組みと課題

日本の予算は、内閣が提案し、国会が審議・採択します。内閣は、財務省を中心に、各府省庁からの概算要求を精査し、翌年度の予算案を作成します。予算案は、12月末に閣議決定され、1月に国会に提出されます。国会は、予算委員会と本会議で、予算案を審査・修正し、3月末までに可決します。内閣は、可決された予算に署名し、公布します。日本の予算は、主に所得税や消費税などの税収と、国債の発行で賄われます。

日本の予算には、財政健全化や社会保障費の増加などの課題があります。日本の国債残高は、国内総生産(GDP)の2倍以上に達しており、先進国中で最も高い水準です。また、高齢化に伴う社会保障費の増加は、予算の財源確保を難しくしています。これらの課題を解決するためには、経済成長による税収増加や社会保障制度の改革などが求められます。

以上のように、EU、米国、日本の予算は、それぞれの国や地域の政治体制や経済状況により異なる特徴と課題を持っています。これらの違いを理解することは、我々が自国の予算制度を評価し、他国の良い点を取り入れるための重要な手がかりとなります。また、予算は、国や地域の経済政策や社会政策の方向性を示すものでもあります。そのため、予算の仕組みや内容を理解することは、我々が社会や経済の動向を把握する上でも有用です。

政権の影響

小見出し1:岸田首相の支持率の下落

岸田文雄首相の支持率は、2021年10月の内閣発足以降、最低水準となる20%台に軒並み下がりました。特に、2023年11月の報道各社の世論調査では、所得税減税や低所得者向けの現金給付を含む総合経済対策への低評価や、政務三役の辞任が影響したとされています。しかし、2024年1月13~14日に実施された共同通信調査では、内閣支持率が前回比5.0ポイント増の27.3%、不支持率は7.9ポイント減となりました。この支持率の上昇は、能登半島の地震への対応が評価された結果と思われます。

小見出し2:政権の安定性と予算案への影響

政権の安定性については、岸田首相の今後について「2024年度予算案が国会で成立するまでは政権を維持するだろうという見方が支配的だが、その後、辞任せざるを得なくなるだろう」との見方が示されています。安倍派などへの捜査の進展次第では退陣が早まる可能性もあるとも付け加えられています。予算案は通常3月中下旬に成立するとされています。

以上の情報から、岸田首相の支持率の下落と政権の安定性についての懸念が、政権全体に影響を及ぼしていることが明らかになりました。これらの要素が組み合わさることで、政権の運営に対する一般市民の信頼が揺らいでいる可能性があります。これらの問題が解決されない限り、岸田政権の未来は不透明なままでしょう。

終わりに

一般会計予算の決定プロセスとシステムの改善の余地

一般会計予算の決定プロセスは、各国で異なる特性を持っています。これらの違いは、政治体制、経済状況、社会的な要因など、多くの要素によって形成されています。しかし、どの国も予算の決定プロセスとシステムには改善の余地があります。

例えば、予算案の作成過程をより透明化することで、市民の理解と参加を促進することができます。また、予算の優先順位を明確にし、それを具体的な政策目標と連携させることで、予算の効果的な使用を確保することができます。さらに、予算の執行と評価のプロセスを強化することで、予算の効率性と効果性を向上させることができます。

政権の安定性と予算決定への影響

政権の安定性は、予算決定に大きな影響を与えます。政権が安定している場合、予算案はスムーズに進み、政策の実施が円滑に行われます。しかし、政権が不安定な場合、予算案の審議が遅れたり、予算の優先順位が頻繁に変更されたりする可能性があります。

例えば、岸田文雄首相の支持率の下落は、政権の安定性に疑問を投げかけています。これが予算決定にどのような影響を与えるかは、今後の動向次第です。

今後の展望

予算は、国や地域の経済政策や社会政策の方向性を示すものです。そのため、予算の仕組みや内容を理解することは、我々が社会や経済の動向を把握する上でも有用です。また、予算の決定プロセスやシステムの改善は、より公正で効果的な政策の実施につながります。

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